刑事記録閲覧問題を特集しました。

(1) 3月議会での発言
(2) 原市長への申し入れ
(3) 議員団の声明
(4) 読売新聞徳島版視点・直言
(5) 刑事確定記録について  処分取消の請求書
(6) 意  見  書
(7) 陳述書
(8) 決       定

2004年3月議会での発言
 平成16年第 1回定例会−03月08日
◆19番(塀本信之君)おはようございます。日本共産党徳島市議団を代表いたしまして、質問をしてまいりたいと思います。通告順に申し上げてまいります。
(中略)
次に、職員倫理の問題ですけれども、つい最近、公園緑地課の職員が賭博幇助で逮捕、起訴され、懲戒免職となりました。倫理条例ができても職員の不祥事はなくならないのが実情であります。小池市長就任以来15名が逮捕、起訴され、14名が懲戒免職となっています。これに伴う関係者の上司など関係職員の処分も実に多岐にわたり、職員互助会事件並びに職員の職場離脱関係だけでも49名が減給、文書訓告などの処分を受けているのであります。この最大の原因は、やみの勢力による市政への介入であり、それを許してきた小池市長に大きな責任があります。例えば、逮捕された職員のうち、井上前書記長の跳梁が顕著になった平成4年度以降の採用者が15名中8名に上っていることは、その中にその特徴がよくあらわれていると思うのであります。

 何回も紹介して恐縮でございますけれども、前井上書記長の裁判の冒頭陳述で、検察官は次のように述べています。「井上は、平成4年度以降、労組の書記長を務めるようになったが、労使交渉の際に市の幹部職員をどなりつけて厳しく詰問したり、深夜に至るまで相手をいわゆるつるし上げの状態にするなど、手段を選ばず自己の意思を貫徹するというやり方をとったため、市幹部らは次第に井上に遠慮し、井上の意向を最大限尊重するようになっていき、市役所内部では、井上が職員人事にも関与しているといううわさなどがまことしやかに流れるようになり、だれもが井上の意向を配慮するようになっていった。さらに平成5年ごろには、井上の影響力を恐れ、徳島市役所の職員全体があらゆる事項に関して井上に事前の根回しを行うようになったため、市政全般にわたって井上の影響力がますます高まった」、こう指摘しているのであります。これに加えて、彼の跳梁を許す大きな要素に部落解放同盟の影響の呪縛があったことは、既に私たちが何回も指摘してまいりました。このようにやみの勢力による介入で人事が左右され、職員倫理が低下したのであります。そして、人事介入の事実が広がることにより、一般職員の中に厭世観が漂い、仕事を意欲的に行う気風がなくなってきているのであります。このことが、次々と問題を引き起こす職員の発生につながるのであります。

 そこでお伺いしますが、もう既に最高責任者たる小池市長はいないわけですが、だからこそ今後の市政の基本を運営すべき担当理事者に、この問題に対する所見を伺うものであります。
 
 私はここで、この不信感助長のもう一つの要素を指摘したいのであります。それは、特定の有力市議会議員の影響力の行使が見過ごされてきたということであります。昨年の市議会議員選挙に立候補していた前議員が、突如持病の再発で選挙活動を続けられないとして選挙活動中止を表明し、結果的にも落選するという事件がありました。不思議なこともあるのだといぶかしく思っていましたが、その後、当該議員が公職選挙法の寄附行為の違反として立件され、略式起訴されたとの報道に接しました。報道によると、一昨年の11月下旬、徳島市内の飲食店で有権者十数人と会食をしたが、1人当たり数千円の飲食代金すべてを支払ったことが、公職選挙法で禁じられている選挙区内での寄附行為に当たるとして訴追され、罰金30万円、公民権停止5年の略式命令が下され、確定しているそうであります。問題は、この十数名の有権者が本市職員だったという疑惑があることであります。本市職員が有力議員と飲食をともにし、その議員が公職選挙法違反で訴追される、同席した職員は当然のこととしてこの違法行為に連座したことになり、地方公務員にあるまじき行為と言わなければなりません。公務員は一般的に、政治的には中立が求められています。その地方公務員が特定の議員と飲食をともにし、議員にその支払いをゆだねるなどということは、市民から見ると、市役所の公務が特定の議員の影響を強く受けているとの認識にならざるを得ないのであり、まさに公務の中立性が疑われるのであります。市長以下の幹部職員はこのことを承知していたのかどうか、また、地方公務員の選挙のかかわり方としてどのようなことを常日ごろ周知しているのか、お伺いするものであります。

◎総務部長(八幡甫君)職員倫理について、御答弁を申し上げます。

 職員倫理につきましてはこれまでも、全体の奉仕者であることの自覚や法令の遵守、市民の信頼の確保等、職員として守るべき基本原則について、あらゆる機会をとらえて周知徹底を図るとともに、職員倫理条例を制定し、公務員倫理の確立及び綱紀粛正を図ってきたところでございます。

 我々といたしましては、このように全庁一丸となって市民の信頼回復に取り組んでいるときに、このたびのような不祥事が発生いたしましたことを重く受けとめまして、いま一度基本に立ち返り、職場巡視や職場指導のさらなる徹底、職員の意識改革等に取り組み、職員一丸となって再発防止に向け努力しなければならないものと考えております。

 御質問の人事介入についてでございますが、そのような事実は一切ないと確信いたしております。申し上げるまでもなく、人事異動等につきましては常に公平・公正に対応しなければならないものであると自覚いたしておりまして、今後もこのことを念頭に毅然と対応してまいりたいと考えております。

 次に、職員が特定の議員の主催する会合で酒食をともにするというのは公職選挙法に違反する行為であり、公務員の中立性についてどう思うか、そして、公務員の選挙のかかわり方への周知はどのようにしているのかとの御質問でございます。

 御質問の具体の内容につきましては、仮定の話でございまして御答弁できませんが、一般論といたしまして、公務員につきましては地方公務員法におきまして、政治的中立性を確保するため選挙運動等の政治的行為について禁止または制限がなされておりますし、また、公職選挙法におきましても、職員はその地位を利用して選挙運動または選挙運動とみなされる行為をすることができないとされております。また、昨年策定いたしました徳島市職員倫理条例におきましても、職員は常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を、みずからやみずからの属する組織のための私的利益のために用いてはならないと定めております。このことにつきましては、一般選挙の前に職員に対し、法令の規定に違反することのないよう、服務規律の確保を図るよう通達を出して指導しているところでございます。このことからも、職員につきましては、全体の奉仕者として法令を遵守し、非行その他公務に対する市民の信頼を傷つける行為をしてはならないと考えております。
 以上でございます。

◆19番(塀本信之君)答弁をいただきましたので再問をいたします。

 倫理問題ですけれども、お答えをいただきましたが、問題の核心には何ら触れられておりません。特定の人物の市政全般にわたる影響力の行使こそ、市職員の倫理観を失わせ、トップに対する信頼感もなくなって、無気力な職場になっていっているのであります。そのことへの謙虚な反省こそが、部下に対する信頼を得る最大の要素であると考えるものであります。前書記長関与については、残念ながら人事介入は刑事訴追の対象とはなりませんでした。これについては検察庁も困ったに違いありません。本来、人事権は市長の専権です。それを法的には何の権限も持たない人物が介入していたことを、犯罪として立証しなければならないわけでありまして、それを立証し、裁判所を説得するのは大変な作業だということがうかがい知ることができるわけであります。しかし、だからといって徳島市がそのままよしとするわけにはまいらないのであります。やろうと思えば幾らでもやれたのであります。謙虚に反省して抜本的な手を打たなければならなかったのであります。それをあいまいにしてしまったから、職員は失望したのであります。トップに対する求心力はますます薄れていったのであります。

 それに加えて前議員との疑惑であります。私の調査では、立件された会合で中心的な役割を果たした幹部職員がいることがわかっています。市長以下の幹部は当然何らかの事情聴取を行い、適切な処分を行うべきでありました。しかし、市長は、そのことがわかるとみずからの責任問題にも波及するおそれがあることを恐れ、うやむやなままに推移しているのであります。多くの職員はこの市長以下の対応を見て、なお一層不信感を強めているのであります。倫理、倫理とは言ってみても、トップの姿勢を見れば、その訴えがむなしく見えてしまうのであります。今こそ前議員関連の事実を調査し、適切な処分を行うべきではないのでしょうか。先ほど御答弁いただきました総務部長の各種法令あるいは倫理条例からしても、厳しい処分が適切だと思うのであります。お答えをいただきたいと思います。

◎総務部長(八幡甫君)御再問に御答弁申し上げます。
 公職選挙法違反にかかわったと言われる職員について調査し、適切な処分を行うべきとの御質問でございますが、あくまでもうわさの範囲であり、司法当局からは何も伺っておりません。うわさは、その内容の真偽、対応の仕方いかんによっては、立ち直れないほど人の信用を傷つけ、名誉を毀損する場合もございます。その取り扱いは慎重を期す必要があると考えております。
 以上でございます。

◆19番(塀本信之君)答弁をいただきましたので質問を続けてまいります。

 倫理問題でありますが、前議員関連の調査と処分については、うわさでは何もできないとのことでありますが、余りにも消極的な答弁で落胆をいたしました。しかし、その答弁をいい方に解釈いたしますと、はっきりしたことがわかれば対処できるということになります。
 はっきりする方法は多岐にわたっています。まず、当の本人が申し出ること、職員アンケートを実施すること、刑事記録を取り寄せることなどであります。ぜひ当局がこれらのことを積極的に取り組まれることを強く求めておきたいと思います。同時に、私どもも新事実解明の努力をこれからもしてまいりたいと思っています。大切なことは、前書記長の問題にしろ前議員の問題にしろ、真実に踏み込むには勇気が要ります。結果として大きな痛みを伴うこともあるでしょう。

 しかし、それを恐れて何もしないことは、職員全体から信頼を失うという最も大きな損失を生むのであります。私たちは、徳島市のトップが不当な圧力に毅然と対処する姿勢を示し、そのことで職員の信頼をかち取り、徳島市の全職員が市民の福祉の充実のために邁進するという関係を、どうしても打ち立てなければならないと考えています。

 徳島市の主人公は市民であります。徳島市という行政機構は、市民の福祉の充実のためにあるのであります。そこに働く職員の喜びは市民が喜ぶ姿を見ることにあり、市民の喜びを我が喜びとするという住民奉仕の姿勢が求められるのであります。

 幸か不幸か、市長がかわります。これを機会に徳島市という地方自治体が、全職員を挙げて住民奉仕に心がけ、働きがいのある職場になっていくことを強く求めておきたいし、私たちもそのことを先頭に立って実践することのできる候補者を担ぎ、勝利したいと考えています。

 
原市長への申し入れ

声明
声明
2004年6月14日
               日本共産党徳島市議団
                     団長 中野一雄

 去る5月18日申し入れました「市政改革」について、本日原市長から別紙の「回答」がありましたが、
次の理由により本回答を容認することができません。

 1、刑事処罰の対象とされなかったとしても、地方公務員法第33条(信用失墜行為の禁止)に触れる 
  事案であることが明白である。
 1、徳島市職員倫理条例第3条(公務員としての倫理観の高揚)、第5条(法令の遵守と信用の保持)
  に抵触した行為といわざるを得ない。
 1、真相解明のための調査さえ行わないのは、市長の選挙公約、本日の所信表明で述べられている「信
  頼回復」に程遠いものといわざるを得ない。

 今後も私たちは議会等を通じて追及し、事件の解明に努力し、市役所の信頼回復につとめてゆきたい

読売新聞徳島版


視点・直言


 原市長は、「市役所の信頼回復」を、最優先の公約に掲げていたのではなかったのか。
 昨年四月の徳島市議選に絡んで、同市職員が公選法違反罪で罰金刑を受けた前市議から飲食接待を受けた問題について、原市長は市独自で調査する考えがないと市議会で答弁した。選挙公約と、余りにかけ離れた対応と言わざるをえない。
 共産党市議団が閲覧した前市議の刑事確定訴訟記録によると、二〇〇二年十一月二十七日、前市議が選挙への応援を呼びかける目的で開いた市内の会合に複数の市職員が参加し、飲食接待を受けた上、後援会名簿を集めるよう依頼されていた。
 確かに、参加した市職員の中に刑罰を受けた者はいないのだから、市長が言うように公選法上は問題ないのかもしれない。しかし、信用失墜行為の禁止をうたった地方公務員法や、市の職員倫理条例に抵触するのは明らかだ。
 市長がやったことと言えば、弁護士を通じて刑事確定訴訟記録を閲覧しようとしただけ。それも同市議団が閲覧した時と内容が変わらないからと、結局、進んで内容を確かめようとはしなかったという。これでは、問題を簡単に投げ出してしまっているように見られても仕方ないだろう。
 徳島市は、過去六年間で十五人の逮捕者を出す異常事態に見舞われている。前市長時代から、倫理研修などの再発防止策を再三、講じてきたが、全く効果がなかった。そんな状況を打破してくれると、市民が期待したのが四月に初当選した原市長だった。
 市役所内部では、「会合に参加した幹部職員の名前は周知の事実だ」との指摘もある。市長としては、せめて名前が挙がっている職員に直接、事実関係を確認するぐらいはできたのではないか。
 市長は不祥事防止策として、職員同士や来庁者へのあいさつ運動、職員倫理研修などを行う考えを示している。もちろん、それも結構だが、目の前の問題にきちんと向き合わないと、モラルの低下に歯止めはかからないだろう。
 今回の問題を「原市政の行方を占う試金石」と見る向きもある。今こそ、断固たる対応が求められている。(西山 幸太郎)

 

刑事確定記録について
      処分取消の請求書
 
 刑事確定記録について
      処分取消の請求書
                          平成16年6月14日
徳島簡易裁判所 御中
 
       請求人代理人弁護士  林     伸   豪
           
       同     弁護士  川 真 田  正  憲
            同     弁護士  小  倉   正  人
 
〒770−0925   徳島市弓町3丁目6−1
       請 求 者      塀  本   信  之
 
〒770−0854   徳島市徳島本町一丁目7番地(七福ビル)
             徳島合同法律事務所(送達場所)
      上記申立人代理人弁護士 林     伸   豪
          同       弁護士 川 真 田  正  憲
          同       弁護士 小  倉   正  人
               電 話(088)622−7575
               FAX(088)622−7919
 
                 記
 
第1 請 求 の 趣 旨
 1 徳島区検察庁検察官がなした被告人武知清に関する公職選挙法違反(寄付行
 為の禁止)被告事件の刑事確定記録について刑事確定訴訟記録法第4条1項に
 基づく請求人の閲覧請求について閲覧を認めなかった処分を取消す。
 2  検察官は同記録中閲覧を認めながら、部分的に抹消して閲覧させなかった部
 分を閲覧させなければならない。
  3  検察官は同記録中閲覧を認めなかった被告人ないし関係者の供述調書等を全
 て閲覧させなければならない。
  との裁判を求める。
第2  請 求 の 理 由
  1  長年徳島市会議員をつとめ、徳島市議会の長老というべき立場にあった被告
 人武知清は平成15年4月施行の市会議員選挙のため、多数の徳島市職員に対
 し酒食を供する買収行為を行った。処分としては公職選挙法の寄付行為禁止の
 罪で、起訴され、平成15年11月罰金30万円、公民権停止5年の有罪判決
 を受け確定している。武知の行為は長年にわたる市議会長老としての市職員等
 に対する影響力を悪用し、あまつさえ酒食を供して選挙での当選を期したもの
 で、きわめて悪質であり、許し難いとともに、これにやすやすと迎合し、酒食
 を供された市職員等の態度も市民の公僕としての立場に背反した、構造的癒着
 というべきものである。従って武知議員が罰金刑を受けることにより、刑事事
 件としては落着としたとしても,市政浄化、市職員の綱紀粛正という観点から、
 徹底的に正され、再発防止にのぞまなければならない。
 2  請求人は、徳島市会議員の職にあるものであるが事案の徹底的解明、関係職
 員の厳正な扱い、今後の市政における職員の綱紀粛正と再発防止に努力する責
 務を徳島市民に負うものである。
     このため、同記録の閲覧を請求したところ、検察庁は伏字だらけの会場の職員と
 思われるものの供述調書、武知本人の調書の閲覧に応じたものの、肝心の 市職
 員等の供述調書類は全て拒否してきた。
     しかしこれでは前記目的を達成することが殆ど不可能である。本来刑事確定記
 録は刑事訴訟法53条によって「何人も被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧する
 ことが出来る」と明記されており、事務の支障という主として技術的な事由により障害
 のある場合を除き、国民はその閲覧する権利を有するものであり、閲覧目的によって
 制約を受けるものでない。刑事確定訴訟記録法は刑訴法53条の細則、手続規定
 の位置にあるに過ぎない。ところが検察庁はこの趣旨を誤解し、あたかも原則禁止、
 例外閲覧を認める如き扱いをしてきている。これは法の趣旨を歪めていると言わざるを
 得ない。まして本件は上述の通りの公益目的を有するものであり、刑訴法に従いその
 記録の主要部分を開示し、閲覧させるべきである。
      よって本請求に及ぶ。
             添  付  書  類
    委任状                                               1  通

意  見  書

平成16年(る)第5013号
刑事確定記録についての処分取消請求事件
請求者   塀 本 信 之
 
意  見  書
 
                                               平成16年6月28日
 
徳島簡易裁判所 御中
 
                                請求者代理人
                    弁護士 林   伸  豪
 

1.検察官の記録閲覧申請に対し閲覧を認めなかった処分をしていないとの主張は事実をゆがめるものである。請求者は本件の一件記録の全ての閲覧、謄写を申請したものである。これに対し伏字だらけの被告人本人の調書と氏名不詳の会場の従業員と思われるものの伏字だらけの供述調書の閲覧を認めたのみで他の多数の刑事記録(供述調書に限らず、捜査報告書等もふくめ)の全ての閲覧、謄写を拒否するという処分に出たのである。処分をしていないというのなら他の記録部分を閲覧させるとでもいうのであるか。それを処分をしていないなどとするのは到底許されない。
2.検察官の不開示ないし抹消しての開示についての論旨は刑事訴訟法53条及びそれに基づく刑事確定訴訟記録法(以下単に記録法という)の趣旨を一方的にゆがめてしまい、同記録の開示を検察官の勝手な裁量にゆだねてしまうものである。 検察官は請求人の記録閲覧の請求について、その目的を求め、あるいは勝手に、これを想定し、その目的の範囲内については十分閲覧させており、それ以上に、閲覧させる必要がないと主張する。
  しかしそもそも、法は刑事確定記録について閲覧等の目的を限定していない。検察官が肯定する目的がない限り閲覧等をさせないとか、その目的の範囲に限り閲覧をさせるが、それを越える部分は閲覧させない権限を持つとするのは法の趣旨を曲解し、勝手に不法な権限を検察官が有すると解釈するものである。この点ですでに検察官の不開示処分(一部抹消をふくむ)は取消されるべきである。
  なお本件でどの程度の開示でしかない点を裁判官に理解して頂くために、請求者が閲覧を認められたものの謄写(全てを手書きで謄写した)を参考資料として添付する。(あとで返還頂きたい。)いかに限られた部分的なものに過ぎないかが理解出来る。
3.刑事確定記録は単なる捜査記録と異なる。刑事法廷で公開され、証拠として確定しているものに限られている。国民である限り、何人も傍聴出来るし、その内容を(即ち刑事記録にあるもの全てを)知ることが出来るし、その権利がある。現実には時間的制約から証拠調べを簡略にしているが、それは別の次元の問題である。従って裁判終了後の確定記録については本来国民誰もが知ることが出来るものとし刑訴法53条が規定されているのである。同条によりそれが限定されるのは公開禁止事件と、「裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるとき」のみである。後者を拡大して、あたかも検察官に閲覧処分の裁量権があるかの如き本処分とその理由として論旨は著しく法の趣旨を逸脱するものといえよう。
4.検察官の論旨によれば、本件犯罪行為は公選法違反といっても寄附行為の禁止に該当し、寄附行為をうけた者は罪にならないものであって、問題のある行為でないから、個人の特定部分を明らかにすることは出来ないとし、個人的に追求され関係人やその家族の社会的地位や信用を著しく失墜させ、記録法4条2項5号の「関係人の名誉又は生活の平穏を著しく害することになるおそれがあると認められるとき」に該当するという。
  確かに公訴事実としては寄附行為として特定されているが、それは政治的な判断等も加えての結論に過ぎず、それには被告人が処罰をうける直前に長年就任してきた市会議員の立候補も断念するという情状も考慮して結果的としては買収行為ではなく寄附行為として処断したということがうかがわれる。
  しかし本件行為の実態は現職の市会議員であり、しかも強い影響力を有する長老のそれである市会議員候補がこともあろうに市の職員等に対し公然と酒食を供し、選挙への支援を依頼したというものであり、それは買収供応そのものであり、酒食を供されたものは、その被買収者として同罪であり、本件は決して軽視出来る犯罪でない。そのことはなによりも被告人武知清自体が供述調書で繰り返し市議選のための買収行為であったと自認、反省していることで明かである。その実質からいって、供応をうけた市の職員等も処罰をうけなかったから、公人としても免罪されるという性格のものでない。市の職員は公務員として全体の奉仕者として市民にあまねく、衡平に接することが要求されており、一部長老議員と結託して選挙も間際時に酒食の供応をうけるということ自体、著しくその責務に背反する態度であったと言わなければならない。従って寄附行為であり、酒食を供されたものに罪はない式の俗論で、本件記録の閲覧を拒否するなどということはとんでもない誤りであり、本件の如き公務員としてあるまじき非違を看過すものとして強く批判されるべきである。
5.又請求者は本件記録を閲覧することにより、個々の個人の罪をあばき追求するという目的を求めようというのでは無い。徳島市民の委託をうけた市会議員として長年続いた市政の腐敗、停滞状況に問題解明のメスをいれ、その改革、浄化を目指そうとするものである。本件が一部有力議員と市の職員が癒着し、ひいては市政を相談してきた状況の氷山の一角であることは明かである。それは単にその首謀者たる武知清を処罰すればことが足りるというものでない。本件犯罪を契機としてその全容を解明し、二度と再びかかる不祥事を発生させないよう予防対策を講じることが、市民の代表者としての市会議員の責務であり、又、市政の緊急の重要事である。
  参考資料の如く略式命令(判決)さえ、伏字だらけの閲覧しか認めないということは許されるものでない。
6.かりに検察官主張通り、供応をうけた市職員らに何ら恥ずべき点が無ければそれが明かになったところで、その「名誉や私生活の平穏」が「著しく害する」ことになるおそれなどあるはずが無い。法が言っているのは著しく害されるおそれであり、問題になることで、かりに多少の動揺が生じたとしてもそれは法の禁ずるところでない。
  まして問題となるのは一般の市中の庶民の行動でない。一部有力議員の酒食の供応をうけたという公人としての市職員のあり方、態度であり、それが問議されることはむしろ当然であり、不問にふされること自体、市民にとって見過すことが出来ない由々しき事態である。結果としてそれが一部不祥事行動をとった当該職員に対し何等かのプレッシャーになったとしてもそれはそのことを契機として全体の奉仕者として本来の姿にもどらせるための貴重な機会となることであり当事者にとって本来的な利益になることでもある。
  以上の次第で本件程度の記録をほかならぬ市政に責任を負う市会議員たる請求人に、市政改革目的のため開示閲覧させることは最小限認められなければならない。もし検察官のかかる不当処分を容認すればもはや、検察官が記録の専制的支配者となることを許すことになる。記録は本来国民から預かっている国の財産であり、それは何も検察庁でなければならない必要性はなく、例えば裁判所であってもいい訳であるが行刑の都合上や、保有の物理的制約等からくる便宜上、検察庁としているに過ぎないことも十分考慮する必要がある。裁判所の英明な判断を要望する。
 
陳述書 
陳述書
市政浄化は今の徳島市にとって喫緊の課題であります。
古くは労組書記長による背任事件に見られる暴力的言動による市政私物化があり、このことが尾を引いて最近6年間に15名もの逮捕者を出すという不祥事が相継いでいます。今や市民の市職員に対する信頼は地に落ちていると言っても過言ではありません。先の市長選挙で市政の信頼回復が争点の一つとなった所以であります。
一方では本件公選法違反事件で訴追された武知前市議会議員による市政支配が大きな問題点と指摘されてきました。彼は、当時の徳島市長小池氏の選挙の際に2度にわたって本部長を務めるなど小池市政での実力者であり、市政全般に渡って隠然たる影響力を持っていました。
この市議会議員が自らの選挙で、市職員の支持を得ようとして開催されたのが本件会合であり、その開催に主導的役割を果たした市の幹部職員の存在が噂されていました。私は憲法第15条第2項の定めに照らしてみれば、地方公務員の幹部職員が、特定の市議会議員の選挙のために、公職選挙法に反する供応の場に参加し、激励のあいさつをするなどということは到底許されることではなく、徳島市当局がその真相を明らかにし、厳正な対応をとることが、市政浄化につながり、徳島市の職員が市民からの信頼を回復する最善の道であると考え、徳島市議会本会議において一般質問をして正してまいりました。
しかし徳島市当局が、噂の範囲では何も出来ないとの消極的態度に終始しましたので、
武知氏の刑事確定記録になら、幹部職員名も当然記載されており、それを確認の上、市当局に対し、「噂ではないこと。徳島市も記録を閲覧すれば確認できること。確認の後、当該幹部職員に事情を聞けば、真相が解明出来ること」を伝えたいと思って、記録の閲覧請求に及んだものであります。
検察官意見は、私の閲覧目的が、「寄付行為を受けた者に徳島市職員が含まれるか否かの確認」であると曲解していますが、そうではなく、私の求めたものは、武知氏の刑事確定記録の一件記録であります。すべての記録を閲覧することによってのみ、事件の全貌をつかむことが出来、市の幹部職員の役割も確認できるのであります。そのことに確信を持ってはじめて、議会での質問も迫真のもとなり、真相解明につながるのであります。
 検察官は徳島市職員の氏名等が明らかにされれば「個人的に追及される等、これにより、関係人あるいはその家族の社会的地位や信用を著しく失墜される蓋然性が極めて高い」と、あたかも私が個人的に当該職員を追及するがごときのことを何の証明もなく述べていますが到底許されるものではありません。
私は市民からの付託を受けた市議会議員として、噂の範囲だということで、有力市議会議員につながる職員の、市役所の信頼失墜行為を見逃していては、市民からの信頼回復は到底望めないとの気持ちで今回の質問などを行っているものであり、個人的に特定の個人を追及しようとするものではありません。また、記録をほしいままに他人に見せるためのものでもなく、私の確認に基づき、市当局が記録を確認し、それを根拠の一つにして真相解明に着手することを希望しているものであります。
もとより地方公務員の幹部職員であれば、その行為に責任を持つべきであり、たとえそれが刑事訴追を免れた行為であったからと言って、赦免されるものではなく、地方公務員として使用失墜行為を行った場合は、多少の不利益は甘受すべき性質のものであり、本件記録の閲覧が元になって不利益を受けるとしても社会正義の上からはやむを得ない面もあることを付言しておきます。
今、市役所の多くの職員は、貴裁判所の正義の決定を心待ちにしております。検察官が記録をすべて私に閲覧させたということがわかっただけで、本件の真相解明は一挙に進むと思われるからであります。噂を噂として見過ごすのではなく、有力な資料を一つの根拠に真相が解明され、適切な対応が市当局によってなされれば、職員の市指導部に対する求心力が再生し、意欲的な市役所に生まれ変わるきっかけとなるに違いないからであります。このことは市民の市役所に対する信頼回復の一助となり、市役所が真に市民のための市役所になるきっかけとなるに違いないからであります。
私にすべての記録を閲覧させてください。
2004年6月25日
                徳島市議会議員 塀本信之


決       定

平成16年(る)第5013号 刑事確定記録の閲覧に関する処分に対する準抗告申立事件

             決       定

住 所  徳島市弓町3丁目6−1
         申   立   人       塀  本   信   之
         申立人代理人弁護士   林      伸   豪
         同                川 真 田  正   憲
         同                小   倉  正   人

 上記申立人がなした刑事確定記録の閲覧請求に関して,平成16年4月8日及び同月9日に,それぞれ徳島
区検察庁検察官がなした閲覧に関する処分に対して,同年6月14日,上記申立人から不服申立てがあった
ので,当裁判所は次のとおり決定する。

             主        文
    申立人の本件申立を棄却する。

             理        由
第1 申立ての趣旨及び理由
   本件準抗告の申立の趣旨及び理由は,申立人提出の「刑事確定記録について処分取消の請求書」及
   び平成16年6月28日作成の「意見書」と題する書面記載のとおりであるから,これを引用する。
第2 当裁判所の判断
 1 本件記録及び関係記録並びに当裁判所の事実調査の結果によれば,次の事実が認められる。
 (1)申立人は,現職の徳島市議会議員の職にあるものであるところ,平成16年4月8日と同月9日の両日,
   被告人武知清に対する公職選挙法違反被告事件(徳島簡易裁判所平成15年(い)第453号)の確定訴
   訟記録の保管検察官である徳島区検察庁検察官に対し,同記録(以下,これを「本件保管記録」とい
   う。)の閲覧を請求した。

 (2)本件で申立人が閲覧を求めた本件保管記録は,要旨「被告人は,平成15年4月27日施行の徳島市議
   会議員一般選挙に立候補することを決意していたものであるが,法定の除外事由がないのに,上記選
   挙に関し,平成14年11月27日,徳島市南前川町3丁目1番地22所在の財団法人厚生年金事業振興団
   健康文化センター徳島厚生年金会館において,同選挙区内に居住する者らに対し,それぞれ相当の酒
   食を寄附したものである」との公訴事実で,平成15年10月28日,徳島簡易裁判所に公訴提起及び略式
   命令請求がなされた被告事件にかかるものであり,同日,同簡易裁判所裁判官から略式命令が発せら
   れ,同命令謄本は同日,被告人に送達され,法定期間内に正式裁判の請求はなく,同命令は同年
   11月12日に確定した。
 (3)徳島区検察庁検察官は,申立人からの上記閲覧請求に対し,申立人代理人側から事前に「市の職員
   が関与していることについて,議会で質問するかもしれないが,噂とか風評では質問できない。事実関
   係がわからないので確認することが必要である。」旨の説明を受けたこと及び2日にわたる閲覧当日に
   それぞれ提出された閲覧請求書の閲覧目的欄に「市民の負託を受けた市会議員として,市の職員が関
   与しているということなので,行政の安定性,中立性を正すため,本件の記録検討が必要」と記載され
   ていることからすると,本件閲覧目的は,申立人が徳島市議会での質問等のため,被告人武知清が公
   職選挙法違反(寄附行為の禁止)により刑事処罰を受けている事実及び寄附行為を受けた者に徳島市
   役所職員が含まれるか否かの確認であることが認められるとして,上記閲覧目的に照らし,その目的が
   達せられるに必要な部分,すなわち,被告人武知清が公職選挙法違反(寄附行為の禁止)により刑事
   処罰を受けている事実及び寄附行為を受けた者に徳島市役所職員が含まれるという事実(これには,
   当該市役所職員の特定に関する事実は含んでいない)について,閲覧請求を認めることとし,平成16年
   4月8日及び同月9日の両日・閲覧を請求どおり許可する旨の決定をした。
 (4)これに対し,申立人は,閲覧を許可された記録部分は,伏字処理がされた裁判書及び被告人並びに関
   係人の供述調書というものであり,それ以外にも閲覧が許可されていない関係人の供述調書もあると
   して,検察官のこのような処分は,申立人の求める閲覧目的からすれば,請求どおり許可したことに
   は当たらないとして,閲覧請求を認めなかった本件処分の取消しと,抹消 (伏字処理)をして閲覧
   させなかった部分及び閲覧を認めなかった被告人ないし関係人の供述調書等を全て閲覧させること
   を求めた。
2 よって,本件閲覧申請に対して検察官のなした処分について検討するに,記録上は,閲覧申請に対し
  ては,平成16年4月8日と9日の両日,それぞれ請求(申出)どおり許可する旨の決定がなされたことが認
  められる。
  これについて,検察官は,本件で提出した意見書の中で,本件は,閲覧請求を「許可」したものであるか
  ら,これに対する不服申立は理由がないとしながらも,今後,本件において,今回抹消(伏字処理)され
  た部分及び閲覧に供されなかった被告人及び関係人の調書の閲覧の請求がなされたとしても,それは,  
  刑事確定訴訟記録法4条2項5号に記載されている「保管記録を閲覧させることが関係人の名誉又は生
  活の平穏を著しく害することとなるおそれがあると認められるとき」に該当することが明白であり,さらに
  この場合,申請人は,同法4条2項但書にいう「閲覧につき正当な理由があると認められる者」とはいえ
  ないものであると主張する。
   そこで,以上の点に,申立人から提出された本件閲覧目的に関する意見をも踏まえて,本件記録を詳
  細に検討すれば,申立人の本件閲覧申請に対する検察官の閲覧に関する処分は,形式的には「許可」
  処分であるとしても,実質的には,上記検察官の意見のとおりの理由により,一部閲覧を不許可とする
  処分と認めるのが相当である。
3 そこで,検察官がした上記閲覧不許可処分の当否について検討すると,本件未開示記録部分及び開
  示記録中の部分的抹消部分(伏字処理部分)は,特定の市役所職員等の関係人(以下,これを「関係
  人」という。)が被告人から寄附行為を受けるなどの関係を有していたという事実にかかるものであること
  が認められるところ,本件における関係人たる市役所職員は,被告人武知清から寄附行為を受けた者で
  はあるものの,寄附に関して勧誘や要求といったような処罰の対象となる行為を行った者としては扱わ
  れていなかったことが認められ,このような場合において,これら関係人の氏名,住所等個人の特定に
  関する部分について,これを申立人に閲覧させることは,本件申立人の閲覧目的から判断すれば,「関
  係人の名誉又は生活の平穏を著しく害することとなるおそれがある」(刑事確定訴訟記録法4条2項5号)
  ものと考えられる。
   そして,本件申立人の閲覧の趣旨が,市民から負託を受けた現職市議会議員として,議会での活動の
  一環として,市政における綱紀粛正のため,事案の徹底的解明とこれに関係した市役所職員の厳正な扱
  いを求めるためのものであるとしても,上記公職選挙法違反事件における関係人の関与の程度,その置
  かれた社会的地位など本件関係記録から窺える一切の状況に照らして判断すれば,関係人の名誉や
  生活の平穏はなお尊重されるべきものであると考えられ,申立人は,本件閲覧請求において,「閲覧に
  つき正当な理由がある者」(同項但書)であるとは認められないというべきである。
   よって,検察官が,その閲覧を一部不許可とした本件処分は正当であるものと認められる。

4 以上によれば,本件閲覧不許可処分の取消し及び不許可部分の閲覧を求める申立は理由がないので,刑
 事確定訴訟記録法8条,刑事訴訟法430条1項,426条1項により,主文のとおり決定する。

       平成16年7月13日

徳島簡易裁判所

裁判官 渡 部 秀 人

これは謄本である
平成16年7月13日
徳島簡易裁判所
裁判所書記官 安 崎 光 雄